例えば。

 

例えば、それを倒すことで、恋人の命が助かると言う事。

例えば、子供を救うために、盗みを働くような。

 

それは、大切な何かを守るために。

自分にとって大切なものを守るために、何かを奪うということ。何かを。

第三者にとっては、言い訳にしか聞こえず。被害者にとっては、理不尽さに憤りを感じ。

 

それでも、当事者たる自分にとっては、大切なものを守る為の理由となり、正当な(或いは自分を守る為の)理由となり、

後ろめたい気持ちも、唯一と求めた人の笑顔にかすみ、守り抜いた自分を誇りに思う事も出来るだろう。

 

だけど、それは。

 

-------------------大切なものを守りぬけた場合であって。

 

 

 

 

 

 

 

VOICE

 

 

 

 

 

 

 

視界が赤く染まる。

赤く。あかくあかくあかく。

前も後ろも右も左も地面も空でさえ、見る世界みる世界、赤色がない所なんて存在しないかのように。

赤く、赤く、赤く。

手のひらだけが赤い訳ではない。腕も足も髪も頬も血に濡れて、こびりついて、粘ついて。

ふと、切り離された意識は、不快感に占められる。

 

血で滑る柄を強く握り締めた。言葉にならぬ声をあげて、飛び掛ってきた人間を叩き落とすために。

そう。この剣はもう、切ることは出来ない。

一撃で殺す事ができず、痛みにのた打ち回る敵兵が、口の中で何かを言っている。

女の名だ。敵兵が落とした剣を拾い、無造作に心臓をひと突きにする。男は何か呟いたが、そんな情景にもう、心は何も反応しなくて。

ふと、自分と同じ制服を着た男が視線に入り込む。

口からは鮮血と共に泡を吹き、ヒューヒューと喉を鳴らし、手に持つモノを見つめている。

髪だ。一房。色は茶色に赤がこびりついて。

絶命した男から剣を抜き、味方兵の傍に寄る。

男は自分に気づき、口から新しい血を噴出して-------------------微笑んだ。

 

嗚呼、そうだ。

彼は最近、結婚したといってた。

相手は混血のお嫁さんで、家出同然で一緒になったという。子供も出来て、その報告で、親が許したのだと。

次の季節に生まれるのだと。男の子の名前と女の子の名前を用意しているのだと。

その子たちを守るために---------この隊に参加したのだと。

年若い兵だ。順番から言えば、自分の後に逝く予定の。

 

-----------------抜いた剣を、その青年兵に突き刺して。

 

 

膝をついた。そういえば、人事のように赤色を見ていたが、その中に自分から流れている血もあったのだ。

もう、屍となった青年から剣を引き抜き、杖代わりにする。

自分の荒い息が耳に響く中、あたりを見渡した。

 

屍。死臭。腐乱臭。-----------赤の世界。

確かに、皆、生きていたのに。

目も耳も鼻も、そこには死しか横たわっていないことを感じて。

体が倒れそうになったのを踏ん張る。意味のない悲鳴を上げたくなって、唇をかみ締めた。

狂気にとらわれるわけにはいかない。このまま、死にいくわけにもいかない。

自分はこの隊の指揮官であり。この戦いの責任者だ。生き残って死した仲間を弔うことだってしないといけない。

 

 

いや、違う。

 

守ると決めたのだ、自分は。

あの人を。

大切なあの人を。

 

だから、生きたい。生き延びたい。シニタクナイ。

その執念だけが、人を殺し、味方を炊きつけ。

 

 

 

世界を赤く、染めてしまった。

 

 

 

嗚呼。

 

それなのに。

 

なのに、何故、

-----------------------君は死んでしまったのか。

 

 

 

 

 


見切り発進デス!(相変わらず
終らなければ、すいませっ!!(よわっ

ちなみに色々とあずまの妄想で出来てますので、ちょっとつじつまが合わないとかあるかも知れませんが、
ソコはスルーでお願いします。

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080805 あずま

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