「………それはなんだ?」

と、眉に皺がトレードマークのフォンヴォルテール卿が聞くと、
やはり、爽やかの代名詞、好青年で通ってはいるが、程よく腹黒い----------ウェラー卿コンラートは言い切った。

「貴方の子供ですよ? 認知はしてくれますよね」
「………………は?」

にこやかに微笑む義弟とフリーズした義兄の間に、赤ん坊の泣き声が響きわたった。

 

 

 

 

 

「へー、じゃぁ、ナリスの子供なのかー」
「ああ。奥さんと喧嘩して、今、実家まで追いかけているそうだ」
「あらん。浮気か何かですか?」
「いや、犬も食わない……方らしい。陛下もいらしてないし、一日だけ預かることになって」

ちょうど、仕事の報告に来たヨザックが、子供に高い高いをしている。
まだ、一歳すぎの、、、人との混血の赤ん坊は、人見知りしないのか、喜びの声を上げて、機嫌が良い。

「だけど、さっきのはびっくりしたなぁ」
「うん?」
「いや、てっきり、お前が生んだのだと」
「ありえないだろ?」
「お前なら執念で。むしろ、ナチュラルに産みそうだけど」
「斬られたいか?」
「いやんv たいちょーったら、本気にしてっv」

和やかな(?)会話が進むソコは、当然、グウェンダルの執務室で、部屋の主は聞いてないような顔して書類を裁いている。
ちなみにヨザックの言葉に、何度か同意してしまったのは内緒だ。

そんな折、ふにーっと、子供が泣き出した。
激しい泣き方ではないが、明らかに何かを訴えている声だ。
ヨザックは少し慌ててコンラートに赤ん坊を渡す。

「多分、、、この時間は食事だ……いや、オムツだな」
「あ、男の子か」

何かで確認したヨザック。
というか、ここはグウェンダルの仕事場なのだが、二人は既に赤子に夢中で、部屋の隅に置かれたソファーでオムツ交換が進められている。

「相変わらず、慣れてますね〜。グリ江もいつ産んでもいいように覚えようかしらんv」
「いいんじゃないか? 猊下にグリエがいつでも産む準備があると伝えとこうか?」
「エンリョします」

そんな事、伝わった日には確実に掘られる。

「はい、出来上がり。次は……ミルクかな?」
「ここか?」

背負っていたリュックの中から、ヨザックは必要なものを取り出す。
その間に、赤ん坊をあやすコンラート。
ふと、グウェンダルと目があい、にこり、と微笑を落とす。

「グウェンも抱いてみます?」
「………」
「お。じゃあ、閣下にミルクをば……」

にこにこと笑いながら、子供を無理やり渡すコンラートと、それを面白がるヨザック。
さすが、幼馴染。こういう時の顔はそっくりだ。
仕方ないとため息を一つ。
赤子を受け取るグウェンダルにコンラートとヨザックは軽く目を見張る。

「……………」
「……………」
「ありゃ、、、確実に一人はいるな、隠し子」
「………その口、二度と開けないようにするぞ?」
「イタイイタイイタイイタイ」

肘の上に頭を乗せて安定させてから、哺乳瓶を持つ。
吸い口に空気が入らないようにしてから、口元に持っていき、吸い付いたら、やはり空気が入らないように傾けていき。
満足するまで飲ませて、最後に肩に乗せて、排気をさせる為に背中をぽんぽんと叩いて。
けふっと聞こえたら、抱きなおし、ゆっくりと揺らして、眠りにつかせる。

「……完璧だ」
「完璧だな」
「………」
「………」
「いたいいたいいたいっ! 隊長、ぐりえにやつあたりはやめてんっ」
「……余裕じゃないか」
「やーゆーてーんっ!」
「グウェン。何故、そんなに手馴れているのかな?」

眠った赤子を起こさないように、静かにソファーに寝かせていると、にっこり笑顔魔人が近づいてきた。
ちなみに傍らのギセイシャは、尻を吊り上げられていて、かなり痛そうだ。
そんな様子にグウェンは眉を一度潜めてから、ふ、と笑った。

「お前も手馴れているな?」
「俺は義弟の世話をしましたから。しってい……」
「まさか」

まさかも何もないだろう。
年齢序列だ。ヴォルフの世話をコンラートがしていたのなら、コンラートの世話をしていたのは、
グウェンダルに他ならない。

「いや、でも、そんな事、一度も聞いたことないし……」
「一時だけだからな」

珍しく動揺している姿に、グウェンダルは笑みがこぼれる。
顎に手をあてて、思い出そうとする姿に、目にかかる前髪をすいて、グウェンダルは苦く笑った。

「五日ほどだ。母上とお前の父親が突然、置手紙とお前とお前のオムツや食べ物を用意して………」
「えっ、閣下はコンラートのおしめも変えたんですかっ?!」
「当たり前だ」
「………っ!!」
「うわー、想像できない姿です」

絶句するコンラートを傍目に、ヨザックは先ほどの仕返しとばかりににやにやにやにや笑っている。
だが、その笑いが収まると、いそいそと赤子を抱き、荷物を持ち上げ、さっさと部屋から出て行く。
さすが、敏腕な部下。気遣いもパーフェクトである。

まだ、絶句して、、、次の言葉を捜しているコンラートに笑みを浮かべながら、腰を引き寄せる。
もちろん抗わないが、素直に肩に手を回してこない。
顔を覗き込むと、微かに頬を染めている。

「……全く、覚えていない」
「当然だ。お前は一歳にも満たないときだったからな」
「………」
「なんだ?」
「……その…お世話になりました」
「いや。。。……かったぞ」
「え?」
「可愛かったぞ」
「………っ!!!」

瞬間、頬を真っ赤にして、、、その顔を見せたくないと、肩に顔をうずめてきた。
だけど、耳が赤いので、あまり意味がない。むしろ、可愛らしすぎる、という奴だ。

「……………ぐうぇん」
「どうした?」
「グウェンは、、、子供が欲しい?」

声質が変わった、と思ったら、コンラートが少しためらうように聞いてきた。
思わず、顔を覗き込もうとしたら、抱きつく力を強めて、顔を見られたくないとの意思表示。

何か変だとは思っていたが、まさか、そんな事を考えていたとは。
……いや、可愛い発言からきているかもしれない。
-----------可愛いといったのは、赤子という括りでなく、義弟であるコンラートに対してなのに。

「いや。………いや、お前の子は欲しい」
「………は?」
「お前に似た、お前の子なら欲しい」
「……………」

結局、グウェンダルも口下手だ。義弟である恋人ほど気の利いた言葉はいえないし、そんなの自分のキャラでもない。
だから、素直に伝えてみると、察しの良い恋人は、顔をあげ、、、まずはきょとんとして。
次にこちらの胸が跳ねるほど破顔して、、、、、、、、だけど、次に顔をしかめた。

「……コンラート?」

さすがにその表情は予測できなかった。
何か考え込むような義弟の頬に手を当てると、摺り寄せるように顔を寄せる。

「いや、だめ」
「は?」
「俺に似た子はだめ」
「……何故だ?」
「それは………」

呟いて、コンラートはグウェンダルの首の後ろに腕を伸ばして、それはそれは魅惑的な笑みを浮かべてのたもうた。

「だめ。子供と貴方のとりあいになりそうだ
「………生まれてもない子供に嫉妬か、それは?」
「ええ。だめ。貴方は誰にもあげ………」

最後の言葉は、グウェンダルが吸い込んだ。
コンラートはもちろん、それに反抗する事はなく、静かに目を閉じた。

 

 

FIN

 


むしろ、取り合ってください(はあはあ
自分で書いてて、激しく妄想しまくるあずまは、きっとグウェコン不足なのです。クダサイ、グウェコン。

色々と捏造してますが、それはあずま仕様なので、程よくスルーしていただけると嬉しいですv
ちなみにネタの三行が残ってました

子供が欲しい?
お前の子が欲しい
・・子供と貴方のとりあいになりそうだ

お気に召したらお願いしますv → web拍手を送る

080724 あずま

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