風邪はうつるもの
風邪を引いた。
かなり久しぶりだ。
風邪を引くような不摂生はしていないつもりだったが、すぐに原因は思いつく。
2・3日前にコンラートが風邪を引き、夜中に看病したのが、きっかけなのだろう。どちらにせよ、ちょうど自分の統治領に戻ってきているときでよかった、と思う。
風邪を引いていることをしると、弟は責任を感じるだろうし、何より今、血盟城には母上やアニシナがいる。
あの二人(それとあの陛下もいるとなると)がいると、安静が必要なのに無理というものだ。
王城に知らせないように言いつけ、必要最小限の政務だけこなして、寝台に入った。
「……………なのに何故いるんだ?」
「あれ? 気付きました?」
高い天井まで届く窓から忍び込んできた影が答えた。
コンラートだ。
月の灯りで照らされた義弟は、いつもの爽やかな笑みを湛えたまま、音も立てずに部屋に滑り込んできた。
剣の柄から伸ばしていた手を離す。「……陛下の護衛は?」
「夜間の警備はヨザに任せてきた。朝には戻るよ」
「朝?」
「そう、早朝にね。馬を走らせる」
「…………」静かな声が響き、少しづつ近づいてくる。
にっこりと笑っているのに、こちらを気まずい思いにするなんて、とんでもない義弟だ。
居心地が悪くて、視線を逸らしてしまうのも仕方ないことだろう。「……朝に戻るのは大変だろう。血盟城に連絡をいれ……」
「どうして黙っていたんです?」
「………」寝台の側まで歩み寄ったコンラートは、得意の笑顔を引っ込めた。
座りもせず、覗き込んでくるのは威圧感を与えて罪悪感を煽ろうとする手段なのだろう。
その通りになってしまったのを誤魔化すように、大きく息をついた。「わざわざ知らせることでもないだろう。ただ疲れが貯まって体調を崩しただけだ」
「……そうやって、貴方が俺を甘やかす……。たまには俺にも甘えてくれてもいいんじゃないですか?」本当は俺の風邪がうつったんでしょ?
そう、小さい声が言葉を続けた。首を向けると、怒った表情から、落ち込んだような表情に出くわす。
そうしていると、幼い頃のコンラートを思い出す。
結局、弟はいつまでたっても弟なのかもしれない。
それが-----------たとえ、恋人になったとしても。まだ倦怠感を伴う腕をあげて、コンラートの頭をくしゃくしゃに撫でてやった。
驚きに軽く目を見開いたコンラートは、次にいつもの笑みを浮かべた。
撫でていた手のひらをとって、自分の頬にあたる。「……早くよくなってください」
そう呟いて、上半身を屈めてくる。
合わさる唇。
この前は熱かったのに、今日は私のほうが熱い。触れ合うだけに留めて、互いの唇を離すと、コンラートから熱い吐息が零れた。
とくん、と胸が高鳴ったが、そんなはずないと否定した。再び、目を合わせると、コンラートはいつもの笑顔に戻っていた。
「さぁ、もう休んで。……というか、俺が起こしてしまったんだよね。すまない」
「いや、目が覚めていたからいい」
「本当は、ホットミルクをいれてあげたかったんだけどね」
「………?」
「いや、こっちの話」寝台に身を倒すと、乱れた寝具をコンラートが直す。
そして、そっと額に手のひらが置かれた。冷たくてきもちいい。「……おやすみ、、、グウェン」
まだ、体に熱が残っていたせいか、コンラートの声に導かれるように夢の世界に旅立った。
………恋人が側にいるのはいいものだ。
そう、感じながら……………
FIN
ホットミルクの続きです♪
結構、あまあまになったかなって自分では思っているのですが、どうでしょう?v
一つ疑問を言うなれば、城に忍び込む影・コンラート
夜這いをかけなれているという事でしょうか?v
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070313 あずま
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