たんっ、たんっ、、たんっ♪

軽やかに弾むステップで踏むことにより、ふんだんと使用された白いレースが揺れる。
小さな鼻歌と共に弾めば、ツインテールの髪がさらさら揺れて。
季節はまだ冬で、しこたま冷え込んだ冷気が城壁にしみこんでいて、
その頬をピンク色に染めていた。

今日は張り切って選んだ洋服だった。
自らも可愛いくせに、可愛いもの好きな彼はこの服を喜んでくれるだろうか?
期待と不安を胸を弾ませながら、廊下を跳ねていると、廊下を守る警備兵たちが、大きく目を見開き、
さっと視線を逸らしてしまう。

これも美しさの為。
側を通り過ぎると、ばたりばたりと倒れる音が響いてくる。

嗚呼、美しさって、つみ☆

 

 

愛のかけひき

 

 

「げーーーーいかっvvv」

ばんっ、
と、扉を開けば、シックだが上品に纏められた居室に、愛しのハニーはいた。
この国では貴重な黒の髪と瞳を揺らす、猊下だ。
ちょうど紅茶を飲む所であったのだろう。
小さな細い指にカップが絡められ、桜色の唇をつけようとしていた。
温かい事で唇の色が際立っているのか。
或いは白いカップに色が映えたのか、驚くほど艶めかしく、いますぐただいまのちゅーを強請ってみたくなるほどだ。

「わぁ、相変わらず、視覚の暴力だね、グリエチャン。今日の破壊力はメガトン級だよ、ソバニヨラナイデv」
「似あうでしょー、猊下v ほら、くるり〜んv」
「はははは、カワイクナイヨー、キモイヨー、いっその事、誰かにオソワレテキテー」
「いやぁんv グリエ、猊下をタベチャイターイv」
「え、ヤだ」
「あぁんっ、素で本気で真顔で断らないでーーーぇっ」

本日の洋服はひらひらメイド服にツインテールのウィッグ付。
うふーんと決めポーズをとると本気で鼻に皺をよせて嫌がる猊下。
そんなサドスティックな猊下にもしびれちゃうわんっ♪

うふふふ、と自然に零れる微笑を浮かべながら、嫌がる猊下の横に座ると、漸くもう一人の存在に気づいた。

「あれ、たいちょーじゃないですか。珍しいですね。陛下の護衛はいいんですか?」
「………………」

猊下の前に座っていた男に声をかけたが、何も答えない。
いつもの胡散臭い微笑みもなく、ただ、じいっとグリエを見つめてくる。熱心に。
だけど、人当たりのよさでは右に出るものがいない程のコンラートらしくない。
自分の分の紅茶の準備をしながら、猊下を見つめて答えを求めたが、当然、それをスルーするのがダイケンジャ様。
でも、そんな猊下も、グリエは好きよん。キャッv

「ウェラー卿。多分、ソレは無理だと思うよ?」
「………そう、、、でしょうか………」

心もち落胆の色を滲ませたコンラートの声に、おや、とばかりに片方の眉を上げてしまった。
あまり感情を表に出さないのに、珍しい。
再び、ちらり、と猊下を見つめたけど、既に少年の思考からヨザックの事は消去されているのか、
振り向く以前に存在すら感じていないようだ。
愛がイタイ、と、しなを作ってハンカチを噛み締めてみたが、完全に二人に無視される。
イタイ、、、愛が痛いわ、猊下………(ヨヨヨヨヨ。

「だって、もしそういう趣味があるなら、ヨザックは既にヤられているだろうしね」
「は?」
「……………ヨザ」
「あ、大丈夫。ヨザックはオボコだから」

……………オボコッテナンデスカ?

何故だろう。なんだかそれは聞いてはいけないような気がする。
気になるのは、コンラートがその言葉を知っているかどうかってコトデ。

そのコンラートに視線を向けてみれば、憂いを帯びた視線を下げた所で。
なんだか、それに艶みたいなものを感じて、一体なんの話をしていたのだろうと気になりだした。
猊下がカップを元の位置に戻しながら、言葉を綴る。

「で、試してみたの?」
「えぇ。一応、色々と………」
「上目遣いは?」
「しました」
「おねだりポーズは?」
「ぬかりなく」
「桃色吐息は?」
「耳元に吹きかけてやりました」
「……………」
「……………」

エエト?

「コンビネーションとかは仕掛けたのかい?」
「風呂上りに膝に乗って耳を噛んでみました」
「結果は?」
「………美味しいのか?って聞かれました」
「……………」
「……………」

モシモシ?

「酒を使ってみるとか?」
「それも試してみました」
「……結果は?」
「………気がつけば自室の寝台で寝ていました」
「……………」
「……………」

オーイ?

「いっその事、媚薬とかは?」
「彼は薬という薬に耐性がついているので効きませんよ」
「……………」
「……………」

………………

ええと、、、ここから出て行ってイイデスカ?

どう見ても!どう見てもコンラートからアヤシイ雲が発生しているっっ。
黒い雲よ!黒い雲よ! グリエ、コワーーイっっ
でも、そんな重苦しい雰囲気の中でも、猊下は空気の重さを感じないのか、
ぺたり、と白いテーブルクロスの上に顔を伏せ、指でいじいじと円を描いてる。

「ねぇ、ウェラー卿」
「なんです?」
「もう、強○しちゃったら?」

ブヒーーーーーーっ!!!
げげげげいかったら、なんつー事を!!
思わず、グリエ、はしたなくもカップから紅茶を噴出しちゃったわっっ!!
……………
おい、こら、コンラート!
顎に手をかけて悩むんじゃない!! 犯罪だぞ、犯罪っっ!!

「うーん、それも考えたんですが、、、、悔しいじゃないですか。落とせないって事が」
「あー、それはわかるなぁ………」

考えたんかいっ!

あぁ、でも、落とそうとする猊下はめちゃくちゃ色っぽくて可愛いんだよなぁ〜………。
あの日の夜とかあの時の猊下の顔とか、色々と思いだしてしまう。
今夜はぜひとも強請る顔が見たいねぇ〜〜〜〜。

思わず、にやにや笑っていると、頬に視線を感じた。
見ると、猊下とコンラートがじっと俺を見ている。

………なんだろう、この嫌な予感は。

ふ、と猊下が嫣然と微笑んだ。

「貸してもいいけど、高いよ?」

きらりん、と眼鏡が光った(気がした。
それに対し、コンラートはそれはそれは爽やかな微笑で返した。

「えぇ。わかっていますよ、猊下。どうです? 酔っ払ったユーリで」

きらりん、と白い歯が光る(ように見えた。
二人はそれはそれは愉しそうに微笑み合っていて、猊下は答えるように、ふぅん?、と口をとがらす。

「渋谷は酒を飲まないだろ?」
「えぇ。ユーリはお酒を嫌っていますが………そこは名付け親の権限で」
「ふーん………」
「猊下。俺は出来ない事を口にしませんよ?」
「………そうだね」

にこり、と二人が笑い合う。
そうして、猊下が誰にも負けないような所作で椅子から立ち上がった。
そして、その小さな手を俺の肩に、ぽむ、と置くと。

「じゃぁ、グリエちやん。後はよろしくね? ウェラー卿も」
「へ…………?」
「えぇ。また、その時はお知らせしますから」

猊下はすたすたと扉に向かい、振り返りもせずひらひらと手を振って部屋から出た。
俺は呆然と閉じた扉をしばらく見つめ続けた。

ぱたん。

「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………ヨザ?」

甘い、甘い声が静かに響く。
我に戻ると、いつの間にかに背後を取られていたようだ。

振り返りたくない。振り返りたくない。振り返りたくない。
いや、
振り返ったら、、、、、多分、殺されてしまう!!

戦いの中でもこれだけの緊迫感を与えられる事はないだろう。
このまま、何も考えずダッシュをかましてしまいたいが、相手はルッテンベルグの獅子といわれた男。
先手とばかりに、頬に手を添えられてしまった。

 

……って、おい!
まてまてまてまてまて!
そんな目で見るなっ! 見ないでっっっ
その表情も、反則だし!!

って、おぉぉいっ
誰かタスケテ!誰かっ!!

このままじゃ、俺が猊下と閣下に殺されてしまう!!

 

まてまてまてまてまてまてっっ!!!!

誰かっ、、、誰か助けてーーーーー!!!!

 

 

FIN(ぇ


れっつ、勢い☆(きゃっ

とてもステッキーな所でクギってみました。
後は、読者サマのお好きに想像してくださいねvvv(ぇ
ちなみに一応、グウェコンですからv

次はこの対になるものが書ければいいなーって思っています
そして、これを書いていて、あずまは受けが腹黒スキーと気付きました(ぁ

お気に召されたら、どうぞよろしくお願いしますv → web拍手を送る

070203 あずま

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送