視線の先 4
そのまま目を奪われて。
気付いたら、心も奪われていて。
そのきっかけがこの眉間の皺だなんて。
そう考えると、なんて愛しいのだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「………いつまで触っているつもりだ?」
「もう少し。この感触は癖になるよ?」
触るたびに深くなっていく眉間の皺。その感触。
軽く摘んで、ひねって、離して、触れて。
愉しすぎる。
この厳格な義兄の皺で遊べるなんて。
この顰め面しかしない義兄の顔をこんなに側で楽しめるなんて。
そろそろ怒りそうだから辞めないといけない、と思うのと。
触れている指先から伝わる肌の温かさが------------離れがたくて。
「コンラート」
「もう少し」
ふにふにふに。
思わず、噴出してしまいそうだ。
そんな俺の気配を悟ったのか、グウェンは深いため息をついた。
皺に触れていた指先が捕らわれる。
「グ-----------------」
ふ、と笑みが零された。
そのまま瞳が閉じられ、指先に口付けが、落とされる。
目を見開いてしまった俺に気づいているのか、次は爪先に。
わざわざ、一本ずつ口付けて。
その次は、手の甲に。
そして、手のひらに。
硬質な、唇の感触。
滑るように動くと、唇が微かに捲れて、粘膜が触れて。
どきり、と鼓動が跳ねた。
それが指先に伝わったのか、グウェンは瞳を上げ、俺の指先を引き寄せて、眉間に口付けを落としてきた。
「紅茶が冷める前に飲むか」
「……………意地悪じゃないですか?」
少し、声が掠れた。
だが、グウェンはなんのことだ、とばかりに片方の眉をあげて、、、口元に意地悪な笑みを浮かべて、
テーブルに並べておいていたカップに口をつけた。
正直、悔しい、と思う。
最初に煽ったのは俺のはずなのに。
なのに、あっさり煽りかえされて。感情をざわつかされて。
いつまでも、自分が子供のようにあしらわれているなんて。
そんな俺の葛藤なんて気づきもしないのか、グウェンは持ってきた菓子を口にいれ、
こ気味いい音を立てている。
いっそ、このまま押し倒してみたほうが愉しいかもしれない。
なんだかその案がとてもいい気がして、早速試してみようかと思っていると、
廊下の向こうから、軽やかに駆けてくる音がする。
グウェンも気づいたのか、再び、眉間に小さく皺を寄せる。
「コンラッドっ、キャッチボールしようぜ!!」
「陛下、もう食べ終わったんですか?」
「へーか言うな! うん、美味しかったぜ♪」
「そうですか。後、ワンホール準備しとけば良かったですかね」
「え?」
疑問顔の陛下ににっこり笑顔を向けて、席を立つ。
グウェンは既にカップの残りを飲み干し、さて、とばかりに続いて立ち上がる。
そして、ゆっくりユーリに向かう。ユーリがやばいっとばかりに顔をあわあわさせている。
「陛下、一刻後には戻ってきてくださるんでしょうな?」
「ああうんうんっ、ちゃんと、戻ってくるし」
「よろしいでしょう」
「行こうぜ、コンラッド!」
無言の圧力に、わたわたとユーリが俺の袖を引っ張る。
グウェンに目で挨拶して、一緒に廊下に飛び出す。
「あー、今日もグウェンってば、壮絶な皺だったなぁ。真夜中に見たら、絶対、心臓発作で倒れそうだ」
「そうですか? 案外、愉しいですよ?」
「………愉しい?」
「そう、愉しい」
あまりの表現の仕方に、全く理解できないのだろう。
ユーリがおかしな顔をして俺を見上げている。
「まぁ、それはそうとして、ヴォルフは勧誘できたのですか?」
「あぁ、それが……………」
素直な性格の名付け子は、そんな単純な質問で話をそらされてくれる。
そんな彼にくすり、と微笑を落とし、身振りの大きい動作で話す彼がこけないように腰に手を添えた。
誰も知らなくていい。
知ってしまったら、気付いてしまうから。
気付いたら、目が離せなくなってしまうから。
あの人は
俺だけのものだから。
FIN
コングウェではありませぬっっ………(なに
なんだか、最後、だらだらと続いてしまりがなくなってしまった(けふん
この二人は大人の恋愛(なのに不器用)って書いているつもりが
ただの枯れた人と欲求不満の人に(マッテマッテ
でも、その辺りのネタがあったりv
結局、両想いのなる所を書けてないので次に書きたいなぁv
お気に召されたら、どうぞよろしくお願いしますv → web拍手を送る
070119 あずま
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