初…………?

 

 

華やかな会場に、色とりどりのドレス。軽やかな音楽。
そして、あちこちで響く、乾杯の声とグラスを合わせる音。
もう、、、昨年となっている昨日の夜から始まった、年越し・新年会パーティー
日付が変わって数刻たち、魔王や大賢者が退出した後となっては、ただの無礼講となっていた。

そんな中、フォンヴォルテール卿グウェンダルは壁の花となり、会場を見渡していた。
彼は酒に強い。
というか、以前、アニシナの実験の餌食となった際に、酒を飲んでも酔いにくくなる性質になっていたのだ。
貴族がこのチャンスに取り入ろうとして、既にありえない量を飲んでいるが、顔色一つ、、、いや表情ひとつ変えない。
あわよくば、娘を嫁に貰ってもらおうと考えて連れてきても、娘がその凄みに血相を変えて拒否するぐらいだ。
ちなみに本人に言わせると、別に機嫌が悪いわけではない。

そうなると、親は違う相手を探し、グウェンダルの元を去る。
そう。
十貴族ではないが、それに相次ぐ地位を持ち、現魔王陛下の信頼も厚く、また娘も気に入る相手。
ウェラー卿コンラートの元に。

昔から続く混血に対する差別がなくなったわけではない。
しかし、もとより、それは純血である高位にある貴族が差別に対して強くうるさいだけで、
並みの貴族から言えば、なんの問題もない。
ウェラー卿と娘が結婚すれば、家の格は確実にあがるのだから。

グウェンダルはグラスを呷り、つ、と視線を義理の弟へと向けた。
そこには親共々娘達に囲われ、娘たちを紹介されている。
まずは新年の挨拶。お酒の乾杯。次に娘の紹介と、踊ってやってほしいとの言葉。
さすがに踊りだすときりがないので、足首をひねった事にして拒否しているらしい。
その代わり、と言ってはなんだが、娘に優しい微笑と謝罪の言葉を。
そして、気の効いた言葉を沿えて難なくこなしていく。
彼が国一のもて男と言われる所以である。

また、頬を赤く染めた娘から酒付きを頂き、グラスを合わせている。
さすがにここまで重ねた音は届かない。
口をつけ、ふわりと微笑んだ義弟に、娘が頬を更に赤くした。

 

-------------------------これは限界だな。

 

グウンダルは近くの給仕のものにグラスを渡すと、真っ直ぐのそこに向かった。

一番最初にコンラートが気づく。
その視線を追うようにして、娘が。そして、父親が。
先程までの微笑をグウェンダルに向け、コンラートが僅かに目元を緩ませた。

「グウェン」
「これはこれはフォンヴォルテー………」

「失礼」

ひょい、とばかりにグウェンダルはコンラートを担ぎ上げた。
驚いたのは三人だけではなく、、、周りの人々もその状況に巻き込まれ、目を見開いた。

「グ、グウェン?」

意味がわからないコンラートは、抱える義兄とぽかーんと見つめる人々を交互に見つめる。
そんな人々を、、、当事者であるコンラートも無視して、グウェンはすたすたと会場を後にした。

 

 

「グウェン?」

周りの目を気にせず歩を進める最愛の人に、コンラートは困ったように名を呼んだ。
遠くでは会場の喧騒が零れてきて、夜明けまで続きそうな勢いだ。

「コンラート」
「グウェン?」
「飲むのはいいが、限界以上飲むな」

ぎょっと、コンラートが目を見開く。グウェンダルは前を向いたまま、スピードを落とさず歩き続けた。
まさか気付かれていたとは思わなかった。
ばれないように隠していたのに。

----------------それでも、自分を見ていてくれたのは嬉しい事で。

目の前にある頭を抱きしめた。
長い髪に指を絡ませ、額に唇を寄せた。

自分の体はお世辞にも華奢とはいえない。
それでも、この人はずっと支えてくれるだろうから。

飲みすぎた酔いが体を巡っていく。
抱えられた体に、相手の温もりが肌を伝って。

 

体の力が抜ける。
眠気が徐々に意識を奪って。

心地よい揺らぎに目蓋が下りていき。

折角、グウェンと二人きりになれたのに、という思いと。
この心地よい眠りの身を任せたい、という思いと。

そんな葛藤も次第に白の世界に染められていって。

 

くすり、とグウェンダルが笑ったのを最後に、意識は眠りに包まれた。

 

 

 


えろ担当グウェコン・・・・・・の予定でした(ぁ
コンセプトは『初キス』で(ぇぇ

 

ぱちぱちと拍手、ありがとうございます!
そして、遅らせながら、新年ですねv
今年もマイペースながら、どしどしと更新していきたいと思っています。
今後とも、k−areaともどもあずまをよろしくお願いしますv

070105 あずま

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