視線の先 1
ずっと、ずっと---------------------気になっていた。
「グウェン」
「コンラート?」
冬が到来した年の終わり。
厳しくなる寒さの一方で、時折温かい日もあり、その日の午後もここ最近では珍しい温かみを地を包んでいた。
そんな中、ペンの走らせる音だけを側において、グウェンダルは執務を片付けている最中だった。
軽やかなノックの後に、聞き覚えた声。
片手に湯気の立つカップと菓子。
ふわり、と香気が鼻をくすぐった。
「お前、今、ユーリと一緒じゃなかったのか?」
「えぇ。ちょうどお越しになっていた猊下とヨザ達とで中庭でおやつをしていましたよ」
で、働く貴方の姿が見えたから、差し入れに、ね?
と、言葉を続け、コンラートは側にあるテーブルに紅茶をセットしだした。
「さ、グウェン。休憩にしましょうか?」
「………」
もう少し片付けたい案件があるのだが、こういう時のコンラートは三兄弟の中で一番、強引な人間となっていて拒否はさせない。
そういえば、朝からぶっとおしで書類を片付けていたのを思い出した。
「不服そうですね」
「………何も言ってないが」
「眉間に皺」
「……………」
嫌な弟だ。
文句があるなら、可愛がりすぎている名付け子に言って欲しい。
あいつのせいで私は仕事の量が増えているのだから。
そんなグウェンの思いに気付いているのかいないのか、いつもの微笑を収めると、ゆっくりと指先で眉間の皺に触れる。
ポットをもったせいかその指先は温かい。
急な行動に驚いて顔を上げると、コンラートは温かな笑みを浮かべていた。
「俺は嫌いじゃないけどね、眉間の皺。
--------------------『貴方』という人に気づかせてくれたものだから」
瞳が緩み、過去の思い出を見つめる。
グウェンもその時の事を思い出して、うすく微笑んだ。
続きます。多分、三話ぐらいかな?
二人の慣れ初めみたいな?(疑問系だし
そして、短すぎ(汗
061229 あずま
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