おはよう、の前に。

 

 

 

ぽかぽかと温かい。
体を包むあたたかさ。それは幸せににたくすぐったさで全身を包む。
どこか懐かしくて、頬を摺り寄せたら、くすり、と笑みが落ちてきて。

だから、気づいた。
温かい正体を。

だから、抱きついた。
その胸の中に。

そうしたら、柔らかい拘束が体を包んだので、微笑が自然に浮かぶ。

もう少し、このままで。
このまま、眠りについていたい。

 

だが、ぽつりと灯った疑問の明かり。

 

「って、ーーーーーーーーーー!!!!」
「しっ、静かに。猊下が起きますよ」

俺は慌てて口を塞いだ。
ムラケンの寝起きはサイアクだ。天災地災火事親父よりオソロシイ。

そろりそろりと体を起こすと、コンラッドの向こうにオレンジ頭、その向こうに黒髪の欠片が見える。
どうやら、全く起きなかったみたいで、ほっと胸を撫で下ろす。

「おかえりなさい、陛下」
「うわっと、、、、陛下って呼ぶなよ」
「すいません、つい、クセで」

体を引き寄せられ、再び、コンラッドの腕に包まれる。
そうして、額に、頬に、目蓋に唇が落ちてきて。

「んっ………」

合わさった唇。
進入してきたコンラッドの舌。
俺の口腔内に慣れたソレは縦横無尽に動いて。

思わず、零れ落ちそうな吐息を必死に食い止める。
それと同じだけの力で、コンラッドの肩を押し返す。

だって、そこにっ、、、すぐ側にヨザックと村田がいるんだ!
気付かれたら目も当てられない!
いや、村田はある意味大丈夫だろうが………ヨザックは起きてきそうでコワイ!!!

そんな俺の苦労も全く理解していない恋人は、さらりと俺の抵抗を、、、、その巧みな舌で防いできた。

逃げる舌を絡めて。
零れそうな唾液を啜って。
一瞬の隙も与えず、攻めてこられる熱い口付けに、そういえば、三ヶ月あっていないことを思い出してしまって。

抵抗していた筈の手が、肩を握り締めた。
首を上げ、もっともっとと強請るように舌を出して。

獅子の顔したコンラッドがふわり、と笑った気がした。
俺は目を開いたら、涙が零れそうで目を開けられない。

「………ユーリ」

キスの間に名を呼ぶのは、本当に反則だと思う。
その低く掠れた………欲望を滲ませた声は、背筋を這って響く。
駄目だ、と思うのに、振りほどくことが出来ない。
欲しい欲しいと本能だけが、頭を占領して。

ぎゅっと抱きついた。
どうにかして欲しくて。

「ユーリ、どうしたのですか?」

それなのに、名付け親はキスをやめて、爽やかな微笑を浮かべた。
………煽ったのは、そっちのクセに。

「………わかってるくせに………コンラッドだって、、、余裕、ないクセに」
「ばれましたか」

相変わらず、そんな風に見えない笑顔で。
でも………銀の輝きが濡れたように光っていて。
それだけで……煽られる。
もうどうしようもなくて、目の前の体に抱きついた。

「……いきましょうか、ユーリ」
「…………ん」

静かに囁く声が、俺の体を落ち着かせる。
肩の力がすっと抜けた。
おずおずと顔を上げると、コンラッドが微笑んでいて。
一つ、頬に唇が落とされて、二人で笑い合う。

「そうだ」
「どうしました?」

そろりそろりとベッドを抜け出した後、思い出した。
扉を開けたコンラッドが振り返る。

 

「おかえり」
「……ただいま」

 

 

 

 

 

「……やっと行ったか………」

「……………」

「あいつも意地が悪いなぁ………」

「……………」

「……………」

「……………」

「猊下ぁぁ、早く起きてくださいよぉ。グリ江、欲求不満で襲っちゃいそうよっ」

「……………」

「……………」

「……………」

「……………」

「……………」

「……………くすん」

 

 

Fin

 


猊下サイコー(うっとり
彼はナチュラルに寝てますよ、えぇ。

そして、獅子が大暴走しそうになった一品。
書き進めていくと、あわや、そのままコトがはじまりそうにっっっっ!!!
抵抗して、陛下!抵抗して!!!

もんもんするお庭番と暴走一歩手前の獅子サン。
こいつらの裏の話はおそろしーだろーなー(遠く

061114 あずま

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