俺は、渋谷有利原宿不利16歳男性独身眞魔国第27代目魔王さま!
って、いつものくせで何かをいってしまった気がするが、今はそれどころではない!

俺、今、困ってます!
むしろ、あせってます!
つーか、助けて!!!

「って、ひどいなぁ、陛下は」
「へへへへへ陛下って呼ぶな! そして、もう少し離れて!」
「どうしてですか、ユーリ? 字を教えて差し上げているだけですよ?」
「それなら、後ろに回る必要があるのかっ! って、耳に息を吹きかけるなっ! 頬にくくくくくくくくくくちつけるな!」
「はっはっはっはっ、あまり動くとインクが垂れますよー?」

聞いちゃいねぇーーーっ!!

 

 

きす。

 

ここは執務室。俺のシゴトバ。
昼の日差しは心地よく、野球日和だというのに、サインという、アイドルしかしないと思っていた仕事をこなしていた。
うららかな日差しは眠気も誘う。
さくっと仕事を終わらせて散歩に出かけてしまった村田がウラヤマシイ。
手首をひらひら動かしながら、一息つくと、扉に寄りかかり立っていたコンラッドが、声をかけてきた。

「そろそろ休憩なさいますか?」
「んー、そうだな。ギュンターもグヴェンもいないうちに、ちょっと、休憩しよう」

ちなみに二人は一人は資料探しに、一人は赤い魔女に捕まっていたりする。
その合間をぬって抜け出したかったが…………

「この書類の山を見るとなー」
「なにがです?」

いつのまにかに紅茶のセットを持ってきた、相変わらず気のきく名付け親が、微笑と共に声を返す。
俺は書類の一枚を手に取り、天井にかざしてため息をついた。

「いやいや、なんでもないけど………
やっぱ、字が汚いなぁ〜。もう少しかけるようになると、この書類の減りも早くなるんだろうけどなー」

遠い世界を見つめて、ふっと、息をつくと、名付け親が小さく笑っている姿が見える。
すぐに不機嫌な顔をしてみると、コンラッドは咳払いなんかして、ソファの方でお茶のセットを置いた。

「お教えしましょうか?」
「え、いいのか?」

 

で、現在に至る、ワケだ。

よくよく考えれば、いや、考えなくても、つい最近、名付け親から衝撃の告白を受け、
更にはファーストどころかセカンドキッスまで奪われていて、この状況は当然といえば当然かもしれないっ。
だがっ、今まで、そんな雰囲気をいっさい出さず、忘れた頃にこんなことするとは、せこいっせこすぎるっっ!!

「ユーリ?」

大体、ヴォルフにしろコンラッドにしろ、男同士だぞ、男同士!
子供が生まれなきゃ、野球チームが作れないじゃないかぁ!!!

「…………」

いや、女の子も欲しい。ってグレタがいるから、いいか。
そういえば、グレタはいつ…………………。

「………え?」

いつのまにかに、顎が持ち上げられていた。
視線を上げると、背もたれに肘をついた、コンラッドの顔が近づいてくる。
その表情は、あの時、初めて見たもので、、、、、

「ユーリ………」

胸にくるような囁きに目を見開いていると、唇が合わさった。
最初はなぞるように。
そして、薄く開けていた唇に忍び込んできた…………

「…………んっ!」

驚いて、コンラッドの肩を掴んだが、彼はびくともせず、反対にそのまま、覆いかぶさり、俺の頭が背もたれにつく。
その事で逃げ場を失った俺の口腔内を舌が侵入してくる。

驚いて逃げようとした舌を絡めとり、歯を撫でられ、時には吸い上げて、また、深く貪られる。
こんな経験、初めてで、息が苦しく、上手く唾液が飲み込めない。
時折、重ねた唇の隙間から、自分のものとは思えない声が零れ落ち、思考能力まで奪われる。

多分、それは短い時間。
名残惜しげに離れたコンラッドの唇が、微かに濡れているのを、止まった思考で見つめる。
男らしくも繊細な指が唇を掠めた。

……………そして、低い、囁く声。

「愛していますよ、ユーリ」

どきり、と大きく鼓動が打った。
銀の星が散らばる瞳は、静かな湖面のように、深く、深く、心のそこまで忍び込んでくる。

「ユーリ?」
「…………」
「ユーリー?」
「…………」
「……もう一度、しますよ?」
「っっっっ!!!! ってててててててて、ししししししししし、たたたたたたたたっ!!」
「はいはい、陛下、落ち着いて。大きく息をすってー」

はいてー。すってー、はいてー

って、チガウダロ、オイ!!

思わず、両腕の動きつきで深呼吸してしまった俺をコンラッドは愉しそうに笑っている。

「ココココココココンラッド、アンタはななんて事をしてくれるんだっ
この前のファーストキスどころじゃなく、今回は、ディ、ディーププキスまでっ!!
しかーも、抵抗する俺を無視して続けるとは言語道断!
更にその態度を改めないようとしないとは許せん……………・っ!!」
「……何故、上様モードなんです?
と言うか、あんなのディープキスにははいりませんよ? せいぜい、ひと舐めしたってくらいです」
「………ひひひとななななな」

違うって言うのか?!
アレが違うなら、ドレがアレなんだ!!

するとそんな俺の表情を読んだのか、コンラッドはわざわざ耳元で囁いて言うのだ。

「………なんなら、本気を見せましょうか?」
「…………えええええええええんりょシマスッ!!!!」
「はははは、それは残念だなぁ」

コンラッドは残念そうに見えない顔で言うと、体を離し、ソファの方へ移動した。

「さて、紅茶が冷める前に休憩しましょうか、陛下」
「………陛下って呼ぶなよ」
「そうでしたね、ユーリ」

小さく笑いながら、紅茶セットする姿はいつもの名付け親のそれで。
俺は背もたれに体重を預け、ずりずり腰を落とした。

やばいっ、やばい気がする。
何がやばいかわからないが、色々と色んな所が警報を出している気がする。
頭の中でサイレンが鳴り響き、戻ってこて戻って来い戻ってこーいーよー、なんて音程付の歌まで流れちゃって。

とりあえず、頑張れ、オレ! 負けるな、オレ! 勝つんだ、オレ!!

「ユーリ?」

心の中で拳を握り締めたつもりだが、実際は天井に拳を振り上げていた……オレをコンラッドが不思議そうに見つめていた。

「ユーリの好きなケーキを焼いてもらいましたよ。食べるでしょう?」

そういって、蕩けるような微笑を浮かべた名付け親。
眞魔国ナンバー1の色男、と噂されるに似合いの微笑を浮かべて見つめてくる様は、自分が女の子じゃなくても
鼓動が跳ねるのには十分で。

 

はあぁぁぁ、と深いため息を一つ。
再び不思議そうな顔をしたコンラッドの方へ歩を進める。

 

誰か誰か、オレを助けて

何がどうこうより
自分がよくわからない

だけど、このまま流されやすい自分としては、
名付け親の微笑みに流されそうで。

 

あぁ、誰かオレを助けて!!!

 

 

Fin

 


そのまま流されちゃってクダサイ(ハァハァ←自分で書いてソレはどうよ。
って事で、コンユーバージョン♪
かなり、ユーリが書きにくかったです(汗

つか、これを書いている途中で、この二人はまだくっついてないことに気づいた。
……次男、暴走シマクリだなぁ………

061108 あずま

 

 

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