慣れ初め

 

 

軽い気持ちで聞いたんだよな。
ほら、ノリもあるっしょ?
いつも傍にいてくれて、俺の考えに協力してくれて。護ってくれて。初めっから味方で。
だから、自分でもまだまだ新米へなちょこ魔王だとわかっているから、ちょっと、ごまかし気味に軽く聞いたんだ。

「なぁ、コンラッド。どうして俺の傍にいてくれるんだ?」

すると、コンラッドは少しだけ瞳を細めて、いつもの穏やかな微笑でいい切ったのだ。

「貴方が好きだからですよ、ユーリ」

・・・多分、その言葉を予想していたんだと思う。
そして、予想通りで、とても嬉しい。
くすぐったい気持ちってこれを云うんだろうな、と云う気持ちが胸をくすぐって、
照れ隠しに青空を見上げてみた。

すると、くすり、と笑うコンラッド。
なんなんだろう、と思う前に顔に落ちてきた影。

 

って・・・・・・・・ぇ?

「なっななななななににににににニニニニ?!」

 

触れたのは一瞬。
唇を唇で挟まれた。

「こういう意味でも好きですよ」

にっこり。

多分、この世で同じ笑顔が出来る人間はいないと思わせる程の爽やかな微笑で。
好青年代表はにこにこしている。

って

「ギャアアアアアァァァ!!」

キスされちゃったよ、キス。口付け。俺のファーストキッスをかえせぇぇ!!
いや、そこじゃないっ。そこじゃないだろ、俺!!

「・・・ギャァって、傷つくなぁ」
「それが傷ついた顔かぁ!!」

ビシィィっとコンラッドを指差してしまった。ヒトサシユビデヒトヲサシテハイケマセン。
傷ついたなぁ、の後には、はっはっは、と黄門サマの笑い声が聞こえてくるほどの全開笑顔。
それ以前に、傷ついたのは俺!! いや、これは傷つけられたというのか。いや、それはおかしいし、なんだかそれはヤダ。

「って云うか、コンラッドは、ほっ、、、ほほほほほほほほほ!!」
「ほもじゃないと思いますねぇ、、、一応、今までは女性にしか興味はありませんでしたし・・・」

顎を摩りながら、明後日を見つめながら答える。
と、いう事は、コンラッドはゲイ。両刀。二刀流。
あれ? じゃぁ、三刀流はどうなるんだ? アレか。まさか、獣か・・・っ!!!

混乱した思考回路はどこまでも飛んでいってしまって、一人で頭を抱えてブツブツ言っていると、
隣から、暢気とも取れる小さな笑い声が落ちた。
そして、大きな手のひらが頭をくしゃっと撫でる。

「一人で独走しないで下さいね。百面相は面白いですけど」

オモシロイッテナンダ。

子供相手に撫でるような手のひらが邪魔で、のけようと視線を上げると、相も変わらない微笑がこちらを見ている。

「そんな難しいことじゃないよ、ユーリ。
 ただ、俺がユーリを好きなだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
 だから、側にいる。……簡単な話でしょう?」

そうして、何処までも暖かい………優しい微笑み。

どうしてだろう。
この微笑が俺の胸にすとんと落ちてくる。
全ての感情を落ち着かせ、それは水面をかける波紋のように。
角ばった指が頬に触れ、顎を持ち上げられる。
ふ、と、少しだけ細めた瞳は、優しさだけではなく、凛々しさを兼ね備えて。

「だから、気にしなくていい。
 ユーリはユーリのままでいればいいのです。
 俺が貴方を好きで、側にいたいだけですから」
「………………から……」
「………ユーリ?」

俺の表情が変わったのがわかったのだろう。
コンラッドは訝しげに俺を覗き込む。

「俺もアンタの事が好きだからっ。
 そりゃ、その、そういう意味じゃ、わからないけどっ」
「ユーリ?」
「………アンタが言ったのに、自分の気持ちを言わないのは………フェアじゃないから……な」

顎を捕らわれたままだが、照れ隠しに軽く睨みつけて、答えてやる。

そう、フェアじゃない。
こ、告白をされたのに、何も返さないのは男じゃない。
だけど、あまりの突然さで、答えられるのも答えられない。
…………この胸のドキドキ感は、一体、何に反応しているのか、自分でもわからないから。

コンラッドは驚いて丸くしていた目を元に戻し、小さく笑い出した。

「そういうところが好きですよ、ユーリ」

遠くから、ギュンターの呼び声が聞こえて、コンラッドが視線を返す。
どうやら、休憩時間を過ぎたのに戻らない二人を探しに来た様子だ。

「さて。そろそろ行きましょうか、陛下」
「陛下って呼ぶな、名付け親。あーぁ、また字の練習か………」

先に立ち上がったコンラッドが手を差し伸べてくれる。
いわゆる所の告白をした後とは思えないほど、態度は今までと変わらない。
どこか拍子抜けするような、……って何かを期待しているわけじゃない。
つーか、何かってナニだ。ナニナニだ。

とにもかくにも、その態度はある意味、ありがたく、これからの関係に気まずさに乱入される予定もなさそうだ。

おもむろに手を持ち上げ、コンラッドの手を取る。
大きく力強い手は、剣を握るにふさわしく、男として羨ましいような恨めしいような。
まぁ、恨めしいが殆ど成分を占めている。次点、羨ましい。

「……って、ぅわっ」

握り返した手は、力強く俺の体を持ち上げようと引っ張って、その勢いの良さに、コンラッドの胸にたどり着く。
……………………広い、あたたかな胸の中。

すくい上げられるように、顎を持ち上げられた。
眼前に広がったのは…………茶色い瞳にちりばめられた銀の輝き。
いつもと違って真摯な瞳と、少しだけ微笑をかたどった唇。
スローモーションのように近づいてくる表情。
避ける暇なんてなく、目を閉じる事も出来ず、
むしろ、その艶のある表情に見とれてしまって。

再び重ねられる唇。
次は一度、二度と、唇を啄まれて、最後に軽く下唇を甘噛みされて。

ゆっくり離れていく唇から微かな吐息が零れて。
視界に収まるほどの距離に遠ざかったコンラッドの顔は………初めて見るほど……
ちょっと、今更コレだけの付き合いなのに、初めてって言うのはどう、、、と場違いな不快感に戸惑いを持ってみたほどの……
微笑で。

「愛してますよ、ユーリ」

囁く声に、背筋に、ぞくり、と走る。
今まで聞いた事のない声、表情………微笑。
捕らわれていた手のひらを恭しく持ち上げて、慣れた風に甲に唇を落とす。

もう、何が起きているのかわからない状態に、一人大パニックを起こしていると、
コンラッドが、くすり、と微笑みかけた。

「と、まぁ、口説く事も許してくださいね、陛下」
「…………っ!!!!」
「さて、本気でそろそろいきましょうか? ギュンターの汁がこれ以上濃いくなっても困りますからね」
「……………へ…っ!!」
「へ?」
「陛下って呼ぶなーーーーーーッッ!!!!」
「はははははは、すいません、ついクセで。ユーリ、行きましょう」

そして、おきまりの爽やかな微笑で名付け親が促す。
もう何がなんだかわからなくなって、とりあえず、走り出すことにした。
コンパスの差があるから、すぐに追いつかれるだろうけど。

 

それまでには頬の火照りを消せることを祈りながら。

 

 

 

Fin。

 


今までは保護者面。
これからは時折、獅子の顔、、、、ナンチャッテ。

初めて書いたコンユー
最初半分は一年ぐらい前に書いてた奴なので、ちょっとギャップがありますが、キニシナイデクダサイ(ぁ
つーか、文章が変 最後はムリヤリなカンジが(´¬
ヨザムラの慣れ初めの方とあわせて楽しめたりv

061101  あずま

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送