キスのお題 サイト名 : COUNT TEN. より |
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01. | 初体験 |
02. | 背伸びして |
03. | 不意打ち |
04. | smooch!(チュッ:キスする時の音) |
05. | シルシ(グウェコン・ヨザムラ |
06. | 不機嫌 |
07. | 暗闇 |
08. | バイバイ |
09. | 夢現(ゆめうつつ) |
10. | 何も言わずに |
01.初体験
陛下が地球に戻っていることで、コンラートの仕事は、主に兵の育成が主となる。
時に、政務を手伝うこともあるが、それも軍関係に関わる事。
忙しいのは当たり前で、、、、だけど、あの陛下に振り回されることを考えれば、そう忙しいものではない。
「と、、考えるのは、不敬かぁ?」
コンラートは今、錬兵場にきていた。
気合の入った声が城内に響き、城壁に反射する。
近い位置にいるのだが、聞き慣れた身としては、賑やかとしか思えない。
自由練習時間となっている今、鳴り響く金属音が心地よい。
心地よい、、、、筈なのに、何故か、ぼんやりしてしまう。
いや、理由はわかっているのだ、理由は。
無意識に唇に手がいく。
触れる感触に、あの時の感触が蘇って。
『-----コンラート』
囁かれる言葉に、胸が跳ねた。
今まで、あれほど甘く自分の名前を呼ばれた事はない。
甘くて、甘くて、甘すぎて---------胸が切なくなって。触れてきた唇は、少しだけ冷たくて、、、湿っていて。
ゆっくりと、上唇を舐められた。
驚いて目を見張ると、そっと肩に手を置かれた。
そして、、、、唇を食まれる。一度、、、、二度、、、、、三度。
繰り返すごとに深くなっていく口付けに、思わず、袖を持ってしまって。
くちゅり、と響いた音が、やけに淫猥に響いて------------。
「コンラート?」
「……っ、あ、、、どうした?」突然の背後からの声に、驚いて振り返ると、オレンジ色の髪をした幼馴染が立っていた。
ごまかす様に笑ってみたが、目の前の男は、少し探るように片眉をつきあげた。「……………なんだ」
「コンラート………お前、顔、真っ赤だぜ?」
「?!?!?!?!」言われて、思わず、顔を蔽ってしまった。
俺らしくない行動にヨザックは更に眉を吊り上げた。絶対、これ以上の追求をかけてくるだろうから、すぐに踵を返した。
そして、全力疾走。
あまりにも俺らしくない行動に、ヨザは追いかける事も忘れているようで、背後に気配は感じられない。一気に走りぬけ、誰もいない気の下に座り込む。
軽く切れた息を整えながら、再び、思考が戻ってしまって。。。。口元に苦い笑みが浮かぶ。後ろの頭を木にあてて、目を閉じた。
「まるで、初めてキスしたみたいじゃないか」
動悸が止まらない-----------------。
FIN
※
はい、ラブリーなコンでオオクリシマシタ(何
ちょっと、無理矢理、な感がありますが、キニシナイデクダサーイvvvv
02. 背伸びして
「グウェン」
「………一体、なんのつもりだ、コンラート…?」
夜。
徐々に熱さが厳しくなっていくなか、夜も寝苦しい時期となってきた。
グウェンダルもその内の一人で、少しでも涼もうと窓を開けた。
冷たい風が長い髪を嬲る。
その心地よさに、僅かに瞳を和ませ、軽く息をつくと、ふと、視界に何かが入ってきた。
それが--------一つ下の弟であり、、、恋人のコンラート。彼はちょうど下を巡回していたのだろう。
こちらの視線に気付いて、顔を上げ、、、、微笑を浮かべた。
そして、何を思ったか、近くの木に登り始め………。「ん、だって、今日初めてあっただろ?」
「……………それで、か?」
「うん」
「………」現在、グウェンダルがいるのは二階の部屋だ。
その部屋に近い木によじ登ったコンラートは今、窓より頭二つほど低い所で立っている。
それ以上の枝が細くて無理なのだ。グウェンダルは再び、ため息をついた。「どうせなら、回って入ってくればよいのに」
「うん。でも、今、巡回中だしね」窓から覗き込むようにするグウェンダルと顔を思いっきりあげて、微笑むコンラート。
涼やかな風が二人の沈黙を優しく包む。まるで、忍び逢う恋人たちのようだ。「……なんだか、逢引しているみたいだ」
同じように感じたコンラートが呟く。
「そろそろ行かないといけない。またね、グウェン」
「コンラート」
「……?」呼び止めたのは自分なのに、どこか戸惑ってしまった。
銀の虹彩をちりばめた目が不思議に見上げてくる。「……巡回が終わったら、部屋に来い」
「グウェン……」グウェンダルの、不器用な言葉の意味がわからないコンラートではない。
嬉しそうな笑みを零した。そして、窓柵に手をかけ、思いっきり背伸びする。
焦ったのはグウェンダルだ。何をしようとしているのかわかるが、それをするにはかなり危険だ。「コンラート」
「グウェン」きつい声を上げてみたが、コンラートは笑みを崩そうとしない。
絶妙なバランスを保ちながら、届くように、と背伸びしている。
この弟の事だ。諦めるわけがない。グウェンダルは三度目のため息をついて、コンラートの腕を握る。バランスを崩しても支えられるように。
そうして、ぐっと体を乗り出し、顔を近づけた。小さな吐息が頬にあたった。
静かに目を閉じるのを確認して、軽く、啄む口付けを行う。
すぐに終えてしまった口付け。そっと顔を離すと、コンラートが小さく笑った。「中々のスリルですよね。また、夜這いに来ようかな?」
「……早く、巡回に戻れ」
「はい」笑いながら姿勢を戻し、コンラートはそのまま木から飛び降りた。
しなやかな体躯であるので、着地に音も立てない。
軽く汚れを払ったコンラートは、再び、グウェンダルを見上げ、手を振った。「後で行きます」
「あぁ」短い答えに、コンラートは目を和ませて、再び、巡回に戻った。
グウェンダルは再び、ため息をつくと、巡回を終えてくるだろう恋人のために、コンラートが好きな酒とグラスを準備した。
FIN
※
実は背伸びしたキスは好きv
なんだか、可愛い感じがしてvvv
ですが、身長差があまりなさそうな二人なので、軽くロミジュリ風にしてみましたv拍手、ありがとうございますvvv
03. 不意打ち
それはグウェンダルが、執務室の扉を開けたのと同時だった。
「嗚呼、陛下陛下陛下!! ワタクシからお逃げにならないでっ。さぁ、共に血の海に身をなげませうっ!!」
「何を言っているっ。もし、身投げするなら、婚約者である僕とだろう!! 行くぞ、ユーリ!!」
「俺はまだ死にたくないっっ!!」どん、どん、どん。
飛び出してきたユーリ魔王陛下がぶつかり、その後を追う婚約者である一番下の義弟がぶつかり、
その後ろを、眞魔国イチの美男子からとうとうイロモノになってしまったギュンター王佐が飛び出してくる。
流石に汁から逃げ切ったが。「あれ、グウェン?」
「……コンラート……」最後に、いつでも爽やか笑顔のもう一人の義弟が歩いて出てきて、グウェンダルは、もうクセになった眉間の皺を寄せ、
ため息をついた。本当にもう、相変わらずの、本当に。「で、書類はどこまで終えたのだ?」
「んー………、ナナマイ?」
「……………ナナフンで連れ戻せ」
「うーん。流石の俺でもムリかも」
「五分だ」
「うーん」困ったように微笑んでみせたが、室内の惨状を見れば、やつあたりしたくなるのも仕方ないというものだ。
せめて、書類を机の上にあって欲しい。汁も飛ぶぐらいなら、シマツシテシマイタイ。眉間に皺を、額に怒りマークを同じぐらいくっつけて、大きなため息をつくと、
コンラートも仕方なさそうにしている。
というか、名付け親ならなんとかして欲しいものだ。「グウェン」
流石に書類を片付けるのを一人では時間が掛かりすぎると思い、メイドを呼ぼうと扉に近づいた所で
コンラートに名前を呼ばれる。
振り返ると、にっこり笑ったコンラートの顔が間近に。「……っ?!」
肩に手を置かれ、まるで倒れこむように、コンラートが体重をかけてきた。
咄嗟に体を支えようと腰に手を回すと、唇が優しく食まれる。
驚いた目先に、愉しげな瞳があって、更に唇を舐められ、最後に二度三度とバードキスが繰り返された。「じゃぁ、ナナフンで」
「………」そういうと、片手を上げて、いつもの爽やかな笑みを浮かべ、そのまま部屋から立ち去る。
グウェンダルは、その後姿を見つめ、見えなくなってから、深いため息をついた。突然の口付けに驚くほどウブではない。
ウブではないが………不意打ちは勘弁してほしい。
不意打ちの口付けの後------成功した事で、目を細めて喜んでいる姿が可愛くて可愛くて仕方なくなるから。FIN
※
オチがっ!!
でも、いつもの事なので、あー、ラブなんだね、、、と思っていただければ(ぁ
いつも、拍手、ありがとうございました!!!
04. smooch!(チュッ:キスする時の音)
--------------その日。
第二十七代魔王陛下に仕える筆頭護衛官、ウェラー卿コンラートは、とても素敵な、それはそれは素敵な笑顔を振りまいていた。その素敵さ言えば、城内に勤める家臣たちを片っ端から、虜にするほど麗しい微笑で、
その中でも用事があって会話をしたモノ達は、蕩けるような甘い笑みに、その場で崩れ落ちたほどだった。
--------------だから、その笑みにばったり遭遇してしまったとき、グウェンダルの背中にいやーな汗が流れ落ちた。
相手が気づく前に逃げ出すのが得策だと、踵を返したのだが。「グウェン」
甘い声で名前を呼ばれた。
と、思ったら、コンラートの両の腕が、首周りに絡められていた。そして、目の前には、麗しい恋人の微笑み。
瞳を潤ませ、頬を少し紅潮させ、うっすら開いた口からはちろちろと赤い舌を見せて。
艶やか、と言ってもよい微笑---------だが、その目はしっかりと据わっていることにグウェンダルは気付かないはずがない。
その据わりようは、危険な香りがぷんぷんとして、身の危険まで感じる程だ。「コンラート、おちつ………っ?!?!」
ちううううううううぅ………っっっっつ!!!!
がしっ、と、後頭部をつかまれた。
と、思ったら、力ずくで引き寄せられ、歯がぶつかる勢いで、口を重ねられた。
そして、吸い付かれる。それはもう、内臓を吸い尽くさんばかりに。ちゅぽんっと言う音がして、唇が離された。
ふらついてしまったのは、何も呼吸を奪われただけではないだろう。
思わず、ぜいぜい、と荒い息を繰り返していると、コンラートは片方の腕を首に回したまま、もう片方で、唾液にまみれた唇を拭う。「グウェン」
「………な、なんだ?」
「-------------今夜、逃げたら、、、、、、俺が襲いますよ?」
「………」にっこりと清清しい微笑を浮かべて断言したコンラートは、それでは、と言い残して、廊下の向こうに消えていった。
グウェンダルは、その後姿を呆然と見詰め、そして、じっと手のひらを見つめてしまった。----−明日、有給は取れるだろうか………?
滞る政務の状態に頭痛を感じながら、グウェンダルは、とりあえず、今夜出来るところまで政務を終わらそうと心に決めたのだった。
FIN
※
久しぶりに読み返して、、、本当に欲求不満なんだね、コンラートさん、、、
と、思ってしまいました(自分で書いていて拍手、ありがとうございました!
05. シルシ
「どうすれば、グウェンに嫉妬させる事ができるでしょうかねぇ」
「うーん。それは眉間の皺が消えるより難しいんじゃない?」
「いっそ浮気してみようかな?」
「条件良ければ、グリエチャン、貸すよーv」
「えぇ、ワタクシ、貸し出されるんですか?!」
「………」
「………」と、好きに会話している腹黒二匹とマッチョ一匹。
または、ケダモノ二匹に眼鏡くん一匹。
うん。名付け親がどっちにも入っているってのはドウナンダロウ。俺も少し前はこんな会話に驚いたりしていたもんだが、もう達観の域にいっている。
ちなみにここは執務室。当然、グウェンダルもいるのだが、彼らは全く気にしていない。
そして、グウェンダルも全く気にしていない。気にしていないどころか相手にもしていない。
そうなると、コンラッドに少し同情したくなるなるが、本当はどっちもどっちだ。
更になんだかんだといっても、周囲を巻き込むらぶらぶっぷりなのだから、
こういうのも、いわゆるところの大人の駆け引きとかいうやつなのかもしれない。
それに。
コンラッドの首の付け根に赤いシルシがある。
それは俺も偶然見つけてしまったもの。
思わず、そのシルシを見て、動作をとめてしまった。
けど、俺の不審な動きにコンラッドは不思議そうに見ていただけだ。という事は。
コンラッドはソコに何があるか知らないって事。
コンラッドがソコにナニかをされた記憶がないから、察することができなかったってことで。思わず、近くにいたグウェンダルを見てしまった。
俺の視線の強さに気づいたか、書類を作成していたグウェンダルが顔をあげ、視線が合う。
グウェンダルは訝しげに眉をひそめたが、俺の固まっている理由にすぐ気づいて
--------------------うっすらと笑ったのだ。その後、何気なく見れるときに見てしまうのだが、そのシルシが消えることはない。
さっきもキャッチボールしたときに、コンラッドの首筋にソレはついていた。
「俺が浮気したら、嫉妬してくれますか?」
コンラッドが、グウェンダルの傍に来て、くすくす笑いながら、そんな事を聞いている。
グウェンダルは、ちらり、と視線を移しただけで、何も答えず、再び、書類に視線を落とした。
そんなコイビトにもめげず、コンラッドはグウェンダルの背中に持たれ、彼の髪をいじりだす。
なんとなく、その姿が寂しそうに見えてしまって、つい、言葉をかけてしまった。「その前に浮気相手があきらめてる思うなぁ」
「……ユーリ?」だって、そうだろ?
国一番の剣の使い手であり、軍人であるコンラッド。
その存在に知られることなく<所有のシルシなんかをつけられる、その理由。『俺の前では無防備でいる。これは俺のものだ』
「陛下……?」
「陛下言うな、名付け親」
「ユーリ?」不思議そうな顔をするコンラッドを見て、ため息をついた。
そのさい、ちらり、とそのコイビトをみると、口元を小さくいがめて微笑んでいる。「あーあ。知らぬは本人ばかりなりーって事ですか」
「………?」訳が分からず、コンラッドと村田達が顔をあわせて交互に俺を見ている。
その視線を全て無視して、俺は目の前の書類を片付けることにした。
※
ちなみにグウェンダルさん曰く
「別に意識がないのは寝ているときだけではないぞ?」
という事です。素敵に深読みしてください(まつ
シルシ その2
「で、猊下はどうですか?」
「うん。何が?」
「嫉妬の話ですよ、嫉妬。してくれますか?」陛下と閣下とコンラートが話している間、こっそりと隣に座っている猊下に問う。
彼はちらりと俺の顔を見ると、どこか嬉しそうな笑みを浮かべて言葉を交わす。
あ、これは嫌な予感。「もちろんするよ」
「エエ?v」
「ほら、フォンビーレフェルト卿が近すぎるとか、ウェラー卿が邪魔だとか」……………
「えーっと、、猊下? それは陛下の事では」
「うん、そうだよ。何か間違ってる?」
「えーっと、、、もしかして、俺、浮気されています?」
「ううんー、違うよ。浮気相手がキミv」
「ええええええ?!」楽しそうにくすくす笑う猊下は、本当に楽しそうだ。
なぜ、この人は人を苛めるのに、本当に楽しそうなんだろう。
半分冗談、半分本気で、いじめだっ!、ヨヨヨと泣き伏してみても、更に笑みを深めるだけで、
言葉を撤回しようとする気はさらさらないようだ。
とりあえず、心のメモ帳にお仕置きをしようとスケジュールしておく。「キミは?」
「は?」少し、冷たいコイビトの態度にいじいじしていると、猊下が足を組み替え、
嫣然とした笑みを浮かべて問い返してくる。「キミは嫉妬するの?」
再び、問われて、ごくりと喉がなった。
そして、ひとつ、降伏の旗を揚げる。本当に、なんて、かけひきの上手い------------------------。
ふ、とグリエちゃんモードを放棄して、笑い返すと、猊下はくすくす笑った。
ちらりと室内の人がこちらを見ていないことを確認して、そっと猊下の髪に口付けをおくる。「それは、今夜、教えて差し上げますよ」
「それは、、、遠慮したいね」そう答えても、機嫌よさそうに笑う。
思わず、その場で押し倒したい気持ちになったけど、さすがにそれは機嫌悪くなるので
変わりに、愛しています、とささやいてみて。
ちょっと驚きに目を丸くした猊下は、歳相応に幼い表情を見せて、俺は満足な笑みを浮かべた。
※
一話目のヨザムラサイドですv
ここでもいちゃいちゃされて、陛下はきっと、わが身のサミシサに気づいて涙したことでしょう(ぁ
そして、きっとプーに泣き付いて、ラブラブな夜をすごしたにちがいありませんv
シルシ その3
「-----------------で、実際のところ、どうなんです?」
「……………?」書類と格闘していると、ふと声がかかった。
ペン先を止め、視線をあげると、そこにはグリエ・ヨザックがいて、何故か机に顎を乗せて
俺の顔を覗き込んでいる。
軽く眉をしかめて、なんの話だとばかりに視線をやると、近くの椅子を引き寄せ、勝手に机の前に座り込む。「昨日の話ですよ、昨日の。閣下って嫉妬とかするんですか?」
「そんな事、おまえに話してどうする」
「んー、そうなんですけどね。でも、ほら、俺は嫉妬しまくりですからーv
特にソコの陛下とかぼっちゃんとか陛下とかv いっそヤっちゃいたいくらいにv」
「えええええーっ、全部俺じゃん?! てか、グリエちゃん、目が本気モード!!」
「えー、そんなことありまくりだわんーっvvv」
「えええええええ?!?!」五月蝿い
眉間の皺をほぐしながら、再び、書類に視線を移す。
ギュンターが昨日から不在な分、政務が進むかと思えばそうでもない。
まぁ、猊下がいない分、暇つぶしにされないから、それはそれでよいのだろうが。。。「あ、閣下、無視して進めないでくださいよ!」
「………」………どこか、飛ばせるトコはないだろうか…?
真剣に悩んでみたが、残念ながら、今のところなく、軽く舌打ちしてみる。
そして、視線を上げると、グリエだけではなく、陛下も、そして、遠くにいるコンラートも耳を大きくしている。これは話さないと仕事をさせてくれなさそうだ。
深いため息を吐き、コンラートを見ると、にこり、と微笑んでみせる。
まったく。「……別にしないな」
「本当に?!」
「ああ。あれだけ毎日かまってくれと絡まれるのにどうすれば嫉妬なんかできるんだ」
「あー」
「確かに」
「……絡まれる……」コンラートは違うところにひっかかったみたいだが、二人は大きく納得している。
その姿を見て、もういいだろうとばかりに、書類を手に取ったら、グリエがはっとしたように奪い取る。「でも、陛下に対してはどうですか? ほら、コンユーは王道ですし」
なんの話だ。
書類を机の上に置きなおし、問いかけるヨザックはどこか必死だ。
多分、猊下に聞いてこいといわれたのだろう。
何度目かのため息をつくと、陛下を一瞥して答える。
そのさい、陛下が、ひぃ、と口の中で叫んだのは無視だ。「仕方ない。コンラートにとって陛下は自分の存在の意義だ。
そういう意味では、コンラートの一部である陛下に嫉妬する必要はないだろう」俺がそう答えると、コンラートは笑みを深め、グリエは一瞬だけ、驚いた顔になり、
陛下にいたっては意味がわからないとばかりにきょろきょろと視線を流している。「閣下は、、、それでいいんですか?」
ヨザックの声が変わったことで、視線を戻すと、いつもと違った表情で聞いてくる。
ああ、そうか。こいつも-----------あの戦いを潜り抜けた一人だったか。「かまわん。俺は守られたいのではない、守りたいのだ」
そう、あの日、誓ったときから。
じ、と見つめてくるグリエの視線を受けていると、ふ、と緊張感がとかれる。
そして、グリエは両腕を上げて、肩をすくめた。「結局はらぶらぶって事ですね。はいはい、陛下、馬に蹴られる前に出て行きますよーんv」
「え、よくわかんないけど、ラッキー!」
「休憩は一時間だ」
「……はーい」釘を刺しておいたが、嬉しそうにグリエをきゃっちぼーるとやらに誘う姿はイマイチ信用が出来ない。
もう、癖になったため息をついていると、静かに寄ってくる気配があった。「グウェン」
甘く名を呼ばれ、視線どころか体ごと体制を変えると、コンラートが膝の上に載ってくる。
両腕を俺の背中に回し、ふわり、と微笑んで魅せた。「それでも俺は、貴方だけ愛しています」
「知っているさ」俺が答えると、コンラートはくすくす笑い、その唇を寄せてきた。
※
ネタが決まっていた割には長かった(ぱた
もっと詳しく語ろうかと思いましたが、二人がくっつくネタに関ってくるので、さらりと(笑
つか、これを書いててそのネタをぼんやり思い出しました(笑これでシルシ三部作終わりですv
080128 あずま
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